湖東三山その3



湖東三山巡り、最後は西明寺


湖東三山の中で一番JRとかの駅から近いところにあります。
結論から言うとここが一番観光地としてオススメです。


全体的に人が観光客慣れしてる感じです。いい意味で。
受付でビニール傘貸してくれたりするあたり(感謝)。


また参道も湖東三山の中で最も歩き易い印象です。



歩き易いのですが、厳かな雰囲気はあります。


そして国宝建造物が2件というか2軒。スバラシイ。



まず1つが本堂(上の写真手前左)。


この本堂は鎌倉時代に建てられた時には四方の壁が五間(柱が六本並んでいて、その間が五つ)だったそうです。
それが室町時代に一回り拡張増築され、現在のような方七間(四方の壁の柱が八本、その間が七つ)になったとのこと。
外観からはそんなことは全く知りえませんが、鎌倉時代のままの金剛輪寺の本堂と比べると、向拝(ごはい)という正面の拝む場所(下写真)が付いている点が大きく異なります。



西明寺の本堂も金剛輪寺の本堂も建築様式としては「和様」に分類されるらしいのですが、恥ずかしながら私「和様」という様式がよくわからないのです。(大体室町期だったら「新和様」なんじゃなかろうか…)
まあそんなマニアックなカテゴライズはともかく、日本の寺社で愛でるべきはやはり屋根の反り。屋根は室町期の拡張の際に架け替えられたということでしょう。



本堂内部にも見所が沢山。


寅年の今年は秘仏・虎薬師の特別開帳をしていました。
寅に乗った如来像です。結構キュートな顔した寅でした。




そして快慶作と伝わる阿弥陀三尊。



ガイドの方が言うには、放射状の光背は一枚の板から彫り出したのだそうです。
ええー!?、とその細工の細かさに驚嘆していたのですが、この仏像の真の凄さは別のところにありました。
なんと、光の当たり方で顔の表情が変わるのです。
これはすごい。
能面などで、下から見上げるのと上から見下ろすとでは表情が変わる、というのがありますが、それとはまた違う変化の仕方でした。
大変感銘を受けたので、快慶の他の仏像も拝んでみたくなりました。
やはり兵庫の浄土寺は行かなくては…!(本堂、阿弥陀三尊像ともに国宝)



もう一つの国宝が三重塔。



塔の内部の彩色も見事らしいのですが、拝観時には内部の公開はしていませんでした。残念。


それから二天門は重要文化財です。
本堂の向拝の内側から撮ってみました。





今回拝観した滋賀のお寺はどこも楓がきれいでした。
これが秋で紅葉していたらすごいだろうなあ、と思いましたが、新緑の楓も十分美しいものです。
西明寺は庭園も見事です。




山道の途中、根元に薬剤投与された樹木を見つけました。



寺社境内に似つかわしくない蛍光色の容器。
多分一本だけ樹木に刺してあったなら、美観を損なうノイズとして認識したと思うのです。
しかし、これだけ乱れ打ちしてあると、それはそれで植物の落ち着いた緑と樹脂の蛍光グリーンの対比がなかなか面白いな、と思いました。


◇◇◇◇◇


ところで、本堂内で熱心に阿弥陀三尊を眺めていたところ、ガイドのおじちゃんに「え?東京からわざわざ?一人で来はったん?」と言われてしまいました。
そんなに珍しいんですかね…。
昨今の「パワースポット」ブームや仏像ブームで、若者が連れ立って仏像拝観に来るようになったってことでしょうか。


全般的に、滋賀を観光してるのは地元関西の人が多いような印象でした。
おそらく東京からわざわざここまで来たら、滋賀越えて京都まで行っちゃうんでしょうね。





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