無印良品・否


さて前回は無印良品の賛歌でしたが、私は基本的に無印の繊維系と食器系は評価していません。


前回も書きましたが、服を無印良品で買いたいとは全然思いません。ユニクロよりはマシだと思いますが、服ってそういうものではないと思うからです。


食器に関しては、純粋にデザイン(造形)に魅力を感じません。冴えがない。厚みであったり(総じて重い気がする)、カーブの具合であったり。
業務用ならともかく、自宅で使うのならもっと器自体も美しく、料理も美しく見せる食器を使いたいです。


おそらくこの2つのジャンルは、価格に対する品質という面では及第点なんだと思います。
100円ショップの安かろう悪かろう的な一次凌ぎ用の製品よりは当然良く出来ています。
しかし、もう少しお金を出せば「より良いもの」が割とすぐに見つけられるジャンルでもあります。
そういうジャンルになると、無印良品「「これがいい」ではなく「これでいい」」という理念の弊害が著しい気がします。
もうちょっとコストをかければ(良い素材を使うなり難しい作り方をするなり手間隙をかけるなりすれば)もっと良いものができるのに、それをしていない、というか。
必要最低限とも言えますが、中途半端とも言えます。


白磁めし茶碗・大/Φ12.3×高さ5.5cm   
私なら、無印の450円の白磁のめし茶碗(写真・左上)ではなく、2500円を超す白山陶器の森正洋の平形めし茶碗(写真・右上)を選びます。
同じ「シンプル」でも、器自体の形の美しさ、薄さ、そしてご飯を食べる時の悦びが全然違います。
5倍の価格差があるものを比較しても意味がないだろう、と言われるかもしれませんが、3000円以下、絶対的に高いものではない「買おうと思えば買える」価格帯では、相対的な(「価格の割には」という)評価にあまり意味がないと私は思います。
安物買いの銭失い、とまでは言いませんが、私にとっては


(無印のめし茶碗)×5<(白山陶器の平めし茶碗)×1


の価値だ、ということです。
同じ森正洋のデザインでも、無印良品のものはやっぱり値段なりというか、「悪くはないけどとりたてて良くもない」ので、私にとっては価値が見出せません。


特に中国製を多用したがる最近の無印良品の姿勢には疑問を呈さざるを得ません。
720円も出して中国製の漆器(↓)買うくらいなら、
無印良品 すり漆汁椀・七回塗り・大/約直径11.5cmX7.0cm
2〜3千円出して伝統工芸品の汁碗を買った方が良いと思います。
長野の伝統工芸南木曽ろくろ細工田上民芸さんの栃のお椀なんて本当に美しいですよ。



(池袋の全国伝統的工芸品センターで長年売ってます)


カトラリーなんかも見るからに微妙です。
無印良品 18-8ステンレススプーン大/約19cm     柳宗理 デザートスプーン
この程度の中国製のスプーン(写真・左上)が300円もしますが、500円出して佐藤商事日本洋食器)の柳宗理のデザートスプーン(写真・右上)を買った方が絶対に良いです。


え?偉そうなこと言って結局出てくるのが柳宗理かよニワカだな、って?
いや、私柳宗理のカトラリー30年以上使ってますから、自信持ってのお薦めです。
ちなみに「デザートスプーン」という名前ですが、十分食事用として使えるサイズです。カレーとか。


ここまで書いて、多分自分が食器好き過ぎるのかしら?と自覚し出しましたので、これ以上は自重します。


要は無印で何から何まで買い揃えるのもいいけど、その前にデパートのリビングフロアに行って食器コーナー見て廻ってご覧!ということです。
色々素敵なものと出会えると思いますよ、リビングのフロアって。