コンディショニングマットレス



一つ前のエントリーに書いた、『エアー(AiR)』という製品の画像です。

一体何か、というと、“コンディショニングマットレス”、これ一枚で質の高い睡眠を得られるツール、です。
フローリングに無造作に置くも良し、ベッドや脚付きマットレスの上に敷くも良し。
世の中ではそういう使い方をするものを「敷布団」と呼称しますが(笑)。


今回はこの製品の外観のデザイン(スタイリング)について書きたいと思います。


本製品はその『ムアツふとん』の構造が進化した特殊三層構造を採用しています。
(その構造がどう良いのか、といったことに関してはオフィシャルサイトを見ていただければ、と思います)
折角の新開発構造を世に出すにあたり、今までこういった寝具を知らない人たちにアピールする製品にしたい、というのがクライアントである西川産業の意向でした。機能は優れているわけですから、あとはそれを生活者(グッドデザイン賞ではいわゆる「消費者」のことを「生活者」と呼んでいます)にどう伝えるか、がデザインの果たすべき役割です。
そこで、スポーツやエクササイズ、フィットネスやボディケアを切り口にデザイン開発をすることにしました。


ふとんのような大きな製品は、パッケージで製品特性をユーザーに伝えることができません。なぜならパッケージに入った状態で売り場に置かれることはまずないからです。そこで、製品自体が製品特性をビジュアル的に伝えられるようなカラーリングと、カバー(業界では「側(がわ)」とか「側地(がわじ)」などと呼びます)のデザインをしました。
一部メッシュを用い、通気に配慮すると共に、中身(の構造)が見えるようにしています。
またスポーツウェアのようなテイストのステッチを入れました。実際、スポーツウェアを縫製しているファクトリーで作っています。
何人かに「プロレスラーのマスクみたい」と言われましたが(笑)、このカッティングのラインは、寝返りを打つときの体が動く範囲の外側に通気に配慮したメッシュを配したことで生じています。確かに獣神サンダーライガースーパー・ストロング・マシンのマスクも目の部分がメッシュですが、スケッチの段階では特に意識していたわけではありません。
メッシュは色々試してエアリーな透け具合が生まれるものを選びました。


そうやって製品が大体出来上がり、ネーミングやロゴ作成(特殊三層構造を表現しています)、メインビジュアルの決定、webやリーフレットの作成、と続いていきました。
ビジュアルなどはプロダクトデザイナーというよりはグラフィックデザイナーと呼ばれる方の仕事になります。私はロゴに関して「i」を大文字から小文字に変えたり、角にRを付けた(角を丸くした)くらいで、どちらかというと作業をする側ではなく選ぶ側でした。


こういった「プロダクトインターフェース」作りが審査員の方に評価していただけたようで、この製品は今シーズン(2009-10)のグッドデザイン賞を受賞しています。もちろん寝心地の良さがあってこそ、ですけれども。


製品のウンチクはグッドデザイン賞のサイトに書いてありますので、興味がある方はご覧になって下さい。