謹賀新年



あけましておめでとうございます。


今年は元旦から大きい地震、ということもありませんでした。
平和な1年になってくれると良いのですが。


昨年末も何度か宮城県岩手県に行きました。
まだまだ震災からの復興は始まったばかり、という感じでした。
東京ではそろそろ過去のことになりつつある気もするのですが…。



昨年の夏の『産廃サミット』というイベントで茶席を設けたのですが、
その際に、震災による地盤沈下のため、伐採せざるを得なかった
宮城県松島の瑞巌寺の杉を使って茶杓と露地下駄を作りました。



それがLoftworkさんの『がれき×クリエイティブ』webサイトリーフレットに掲載されました。

千利休に茶を教わったであろう伊達政宗。後年には利休の茶杓をへし折った、という逸話も。その真偽はともかく、杉材が纏う物語に想いを馳せ、茶杓を削り、茶席に用いました。


字数制限があったので、ちょっと説明不足かもしれません。


国宝の本堂をもつ松島の名刹瑞巌寺は、伊達政宗菩提寺でもあります。
その政宗千利休の弟子だった筈です。
酒井忠勝の所持する利休の茶杓をへし折って、そのお詫びに、と
武野紹鷗(利休の師、もしくは師の師)の茶杓を進呈した、


というわけのわからない逸話があります。


ただ、一次資料がなんだかわからないので「真偽はともかく」と書きました。
大正10年の熊田葦城『茶道美談 : 風流の友』(実業之日本社)が初出のようですが…。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/964594/137


茶杓は本来では作らないと思いますが、
茶席のために削り出すのも良いのではないかと
お茶の先生にご助言をいただいて作りました。
露地下駄は元々杉材を使って作るものです。
(ただし雨の日しか使わないことになっています)


産廃サミット』は産業廃棄物のマテリアルを使うことが主題のイベントなので、
JDNさんの『産廃サミット』のレポートを書いた際には
敢えて瑞巌寺の杉を用いたプロダクトには触れなかったのですが、
思ってもみない形で取り上げられました。



さらに、環境省の電子広報誌『エコジン』Volume.32にも露地下駄が掲載されました。



こちらは、『がれき×クリエイティブ』のリーフレットを元に編集された記事だと思います。
露地下駄は特に政宗のエピソード(「杉材がまとう物語」)はないのですが(苦笑)。


所詮、震災で発生した杉材をほんのちょっとだけ使っただけなのですが、
これをきっかけに、もしかしたら東京大学内の茶室にも瑞巌寺の杉材を使えるかもしれない、
という話も生まれたらしいので、実現するといいなと思っているところです。


◇◇◇◇◇


余談ですが、杉が使える茶道具何があったっけ?というのを調べたときに参照したのが『利休形』という本です。
裏千家の家元の文章が載っているのは当然として、堀内宗心さんの文章も載っているので、表裏のバランスも慮られていることに加え、
田中一光亀倉雄策栄久庵憲司というデザイン界の大御所お三方も寄稿しているので、
デザインに興味ある人にもおすすめできる一冊になっています。
写真も綺麗ですし。



あー、でもやっぱりお茶の心得が多少ないとつまらないかな…。