Chicagoのグッドデザイン賞をもらったよ

先日話題にした、東京大丸の入っているグラントウキョウノースタワーの設計者、
ヘルムート・ヤーンの代表作は『ソニーセンター』と『イリノイ州センター』であり、
どちらの建築もアトリウムのような内部空間が特徴です。

『ソニーセンター』はベルリンの中心部にあり、多分観光ガイドにも乗っていると思います。
建築巡礼者はミースの新国立博とハンス・シャロウンのベルリンフィルを観に行ったついでに
立ち寄って「ほぉーこれかー」という感じで見るのが常であろうと思われます。

もう一つのイリノイ州センターは、その名のとおりアメリカのイリノイ州シカゴにあります。
「その名のとおり」と書きましたが、現名称は『ジェームズ・R・トンプソン・センター』です。
（ちなみに『ソニーセンター』は多分2008年にSonyが手放してしまっています）
中は、おそらく行政機関が入っているらしく、私が観に行ったときは土日で中に入れませんでした。

シカゴはドイツのバウハウスが閉じてからミースやモホリ＝ナギが移り住んだ都市で、
アメリカのデザインや建築と言ったらまずシカゴ、そしてニューヨークへ、という感じです。
そのシカゴのChicago Athenaeum: Museum of Architecture & Design（シカゴ建築・デザイン博物館）というところが主催する、
GOOD DESIGNというAwardがあります。
http://www.chi-athenaeum.org/gdesign/index.html

日本語に訳すと「グッドデザイン賞」となってしまい、Ｇマークと混同しそうですが、
このシカゴのGOOD DESIGNは1950年に始まった、世界で最も歴史の長いデザイン賞です。
「GOOD DESIGN」という概念自体もこの辺から始まったものだと思います。

この賞の立ち上げメンバーは、

イームズ夫妻

サーリネン（息子）

エドガー・カウフマンJr.

と実に豪華です。

前の２人は今でも彼らが手がけた製品が流通している有名デザイナーなので説明は省きます。
最後のエドガー・カウフマンJr.はフランク・ロイド・ライトの下にいたこともあるものの、建築家というよりは
ニューヨーク近代美術館（MoMA）の工業デザイン部門のディレクターとして有名です。
彼（とフィリップ・ジョンソン？）がMoMAで1950年から始めた「GOOD DESIGN」という企画展から
「GOOD DESIGN」という概念が世界中に伝わり、日本ではＧマーク制度へと繋がっていった、
という歴史だったと学んだ覚えがあります。
このシカゴのGOOD DESIGN賞とMoMAの企画展の関係は勉強不足でわかりませんが。

ちなみに父親のエドガー・カウフマンはライトの名作『落水荘』の施主です。

そのシカゴの「GOOD DESIGN」賞の2011年度の結果発表が最近ありました。
http://www.chi-athenaeum.org/gdesign/2011/electronics/index.html

普通こういったものは事前に受賞者に内示があるものです。
受賞者の公式発表と同時に、各者が広告とかプレスリリースを出せるように、
準備期間を設けるわけです。
ところが今回のこの賞は、そういったもの一切無し。
イキナリwebに結果発表、という豪快なスタイルでした。
そして「webにアップしたよ」というメールも来ていません（笑）

今年の結果を見ると、まず真っ先に東芝のDVDプレーヤーが掲載されています（羨ましい位置です／笑）が、
日系企業で受賞したのは、東芝、日立、イトーキデザイン（アメリカ法人）、オカムラ、
朝倉染布、イッセイミヤケ、西川産業、凸版印刷＆サムライ（佐藤可士和さん）。
あとは深澤直人さんがアレッシィの仕事で受賞されているのと、
アメリカのデザイン会社にいる日本人デザイナーが数名、という感じです。

ええ、朝倉染布と西川産業の受賞対象は私の仕事です。
http://www.nagare-furoshiki.com
http://www.airsleep.jp

特に西川産業のエアーは2011年５つめの国際デザイン賞受賞となります。
（Ｇマーク、iF、レッドドット、ドイツ連邦デザイン賞、GOOD DESIGN）
少なくとも日本企業の製品としては唯一です。
キチンと調べてはいませんが、おそらく世界的にも５つの受賞はAppleの製品とかBMWの車とか、ごく少数ではないでしょうか。
あとは深澤直人さんが日本国内外のいくつかの仕事で５つのデザイン賞を網羅受賞されていますが、
そういったことを考えると、我ながら上出来ではないかと。

というわけで、歳の瀬に嬉しいニュースが飛び込んできたのでした。

また詳細がわかったらこの場でご報告いたします。