実は朝日新聞にも載ってたよ



昨年末、世田谷ものづくり学校會's NEXTさんの展示会があったので顔を出しました。
その時に取材を受けたのですが、それが実際に新聞記事になっていたようです。
全国版かはわかりませんが。
http://aizu-next.com/blog/?p=422



というわけで、會's NEXTプロジェクトの第1弾製品として『漆のカップ麺椀』が発売されています。



これは漆器の造形デザインというよりも、現代生活の中で漆器が使われるシーンをデザインしようとしたものです。


漆器に限らず、伝統工芸品と呼ばれるものを作っている方々は「飾るのではなく使って欲しい」ということをおっしゃいます。
現在「伝統」と呼ばれているということは、常に時代に合わせた変化を続けて生き残ってきたことを意味しています。
良い物であるのは間違いないのですから、後はどうやって現代生活の中に居場所を見つけるかが重要です。
その居場所をいかに提案できるか。
外部のデザイナーに求められているのはそこだと思います。


「新日本様式」100選の1つでもあるカップヌードルに代表されるインスタント食品は現代日本の文化の1つ。そこに漆の器としての活躍の場があるのではないだろうか、と考えました。


漆器に限らず、良い器に盛り付けた食べ物は一層美味しく感じられるものです。
リフィル対応でエコ、という側面もないではないですが、「美味しく見せる」という器本来の役割をメインに考えています。
(パルプや石油を使った容器を焼却するよりも、器を洗うことによる上水の使用の方が環境負荷が少ないと断言はできませんが…)


ただし、カップヌードルにはちょっとジャンクなところに無性に惹かれる、という面もあると思うので、そういう場合は何も漆器で食べなくてもいいと思います。


個人的にはこの器にははるさめ系が好相性だと思っています。
カップヌードルは実は器の中に麺が固定されている、という特殊技術で作られているのですが(逆さまにしても麺が抜け落ちません)、スープはるさめなどは単にカップに中身が入っているだけです。それこそ中身だけで売っていても良いと思うんですよね。



この漆器を塗ってくださっているのは、儀同哲夫さん。



全国伝統的工芸品公募展で内閣総理大臣賞(最優秀賞)の受賞歴を持つ、名実共に会津塗師のtop。
慧日寺(国指定史跡)の復元された金堂の須弥壇を塗られたりもしています。



そんな超一流の職人でありながら、儀同さんは企業とのコラボレーションなど新しいことにも積極的で、非常に魅力的な方なのです。
おそらく一番有名なのは、CITIZENの腕時計の最高級ライン『カンパノラ』シリーズの文字盤。
(このプロジェクトで儀同さんにお会いする前に、雑誌『Pen』の記事で目にしていて記憶にありました)


そんな儀同さんの塗ったホンモノの漆器ですので(塗る面積も結構ありますし)、決して安くはありません。
しかし、あまりに高価なものになってしまってもコンセプトから外れてしまいます。
発売前は予価4万円だったのですが、お願いして2万5千円に価格を下げていただきました。


素晴らしい塗師の腕による輝く器で即席めんを食す、という妙を味わって頂ければ、と思います。


◇◇◇◇◇


そういえば、カップヌードル浅間山荘事件で有名になったと言われていますが、その現場を指揮した佐々淳行警視正(当時)の息子さんがコンディショニングマットレスAiR』発売元の西川産業の社長をされています。
これも何かの縁、でしょうか。








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4 映画はみてないけど、こっちのが面白いとの説あり